日本不動産研究所がまとめた10月現在のオフィス市況調査によると、空室率DI(「改善」から「悪化」を引いた回答割合の指数)は静岡市で20・0と前回4月から持ち直しが見られた一方、浜松市は0・0と大幅に低下した。半年後の見通しも両市とも振るわず、新型コロナウイルス禍や原材料高騰の継続による企業の業績悪化など、地域の先行き不透明感がにじむ結果になった。
静岡市の空室率DIは前回の8・7から11・3ポイント改善。オフィス稼働は安定傾向で、賃料引き下げの動きは目立たない。低層階で飲食店退去後に空きが埋まりにくいものの、物販やサービス業の入居事例が出ているという。
浜松市は前回から22・7ポイント下落し、前々回の2021年10月の水準に戻った。駅周辺の好立地は引き合いが強いが、少し離れた物件は敬遠されるなど全般的に弱含みという。
半年後の見通しは静岡市が若干下落し9・5、浜松市は微増の5・0だった。
鈴木隆史静岡支所長は「上半期は輸出型製造業の好業績を背景に、オフィス入居企業の事業活動は一定程度堅調で、市況にプラスに働いたのでは」とみる。一方、両市のオフィス賃料DIが20年4月以来、マイナスで推移する現状にも触れ、「物価高騰が続いても、家賃は上がらないだろう」と指摘した。
成瀬智也浜松支所長は「物件の選別化が進んでいるとの見方があり、ビル所有者は警戒感を緩めていない」と話した。